「巴がおかしい」
「あいつがおかしいのは今に始まった事じゃねぇだろぃ」
切原の言葉に間髪入れずに丸井が茶々を入れる。
「いや、確かにそうなんスけど、そういう意味じゃなくってっスね
……なーんか、最近様子が変って言うか……」
「どのようにですか？」
「なんつーか、妙に俺の事避けてるってつーか。
話しかけたら急に慌てだしたりするし、会話はチグハグだし」
それを聞いて仁王が吹きだす。
「そりゃまた……良かったのぅ、赤也」
意味が切原には理解出来ない。
何が良かったと言うのか
「なんだ、お前ら付き合ってるんじゃなかったのか」
「なんスか、ジャッカル先輩まで」
ジャッカルにまで呆れたように言われて思わず抗議の声をあげる。
「おそらく、タイミングを外したまま今に至っているのだろう。
しかしあながち外したとも言い難いな。
今の話から予測すると早々に告白していたとしても、恋愛対象として見てはいなかったと断られていた確率が高い」
情け容赦ない柳の言葉にがっくりと肩を落とす。
非常にありえそうな仮定だけに反論も出来ない。
と、柳が慰めともつかないような言葉をかける。
「まあそう気を落とすな。
あくまでも今のは少し前までならば、という話だ」
無表情なので、真面目に言っているのかおちょくっているのか判断がつかない。
と、ようやくここでひとつの事に気がついた。
「アレ、いつのまにこんな話になってんスか？」
「初めっからこんな話じゃったと思うがの」
「わかってないのは赤也だけみたいだね。フフ」
そりゃどういう、と言おうとした瞬間、真田の怒声が響き渡った。
「貴様ら、いつまで無駄話をしている！
さっさと練習に入れ！」
|