パートナー








 今観戦している試合が終われば、次は自分たちの番だ。



 心臓の音がうるさい。
 時間が経てば経つほど、目の前の試合から意識が離れていく。
 手が少し震えているのが判る。



 一週間。


 決して長いとは言えない期間だが、その間に出来得る事はすべてやったという自負はある。
 だけどそれはどのペアも同じだろう。

 自信と不安が錯綜する。


 彼もそうなのかな、と視線を隣にいる人物―――自分のパートナー―――に向けた。
 気配を感じたのか、コートに向けていた顔が巴の方へ向く。



 目があった。




 一見してすぐに巴の緊張を見てとったのか、一瞬何か言いたげな顔をする。
 が、結局何も言わずにただ笑みを返す。




 ただそれだけ。
 それだけで巴の不安は霧散した。


 そうだ、おびえる必要なんてない。コートに立つのは一人じゃない。
 単純だなぁ、と自分でも呆れるくらいだけど、それだけ彼を頼りにしてしまっているのだ。
 プレイで頼りきりになるのはダメだと思うけど、心の支えにするくらいは大丈夫だよね。
 そんなことを心の中で自分に言う。



 目の前の試合が終了した。
 二人は立ち上がり、肩を並べてコートへ向かう。
 たった今まで観客だった身から、一転して今度は見られる側、選手としてコートに立つ為に。


 負ければ終わりのトーナメント。
 だったらひとつでも長く。
 勝っている間は、このペアが続く。
 最後の最後、頂点に立つ瞬間まで。



 大丈夫。二人ならきっと。
 二人だから、きっと。




〜FIN〜







終了、といった舌の根も乾かぬうちに追加です(^^;)。
FINALバージョン2。

これを下敷にして跡部、というキャラクターをはめ込むとああなりました。
何故か試合前が決勝前に変わってしまっているのはさすが跡部様だからというしか……(笑)。
まあ多分跡部、というキャラクターだからあそこまで変化してしまったんだと思いますけどこういう風に一つの話をキャラ別に仕立て上げるのはけっこう好きな作業だったりします。


ちなみにパートナーは誰でもいける、というようになっていますが実はデフォルトは鳳です。
キャラがどうとかではなくその18の話の序盤のやり取りと対になっているので。


さて、これで本当の本当に終了です。
ありがとうございました!


2006/1/13 義朝拝

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