荷物の最終確認をする。 練習の前にあらかたの荷物はすでに片付けていたので忘れ物はないはずだ。
「よしっ!」
かばんを手に持って部屋をあとにする。 すでに鳥取、小鷹、早川、杏達の姿も見える。
「トモエ、忘れ物なかった?」 「うん、大丈夫!」
と、後ろから声がかけられる。
「へぇ、じゃあこのブラシは誰のなのかしら?」 「え、アレ? あーっ! すいません〜っ!」
苦笑を浮かべた吉川からブラシを受け取り、かばんにしまいこむ。
「まったく……最後まで手間をかけさせるんだから」 「まあ、アナタらしいって言えばらしいわよね」 「トモエはそうでなくっちゃね」 「さすが赤月さん。感心するわ」
鳥取は何も言わなかったが笑っている。
「うぅ〜」
「小鷹! 赤月! もう行くぞ!」
向こうの方から海堂部長の声がする。
「じゃあ、次会うときはJr選抜の大会ね」 「お互い頑張りましょうね!」 「それじゃあまたーっ!」
「ただいまーっ!」
元気良く帰宅の挨拶をするとかばんを肩からおろし、リョーマに話し掛ける。
「それにしても、3日間なんてあっという間だよね。 なんだか物足りないような気もしちゃう」 「……3日で充分。疲れた」
リョーマ君もだらしないなぁ、という巴はいかにも不機嫌そうなリョーマの疲れた原因をわかっていない。
私室で腰を落ち着けていると、聞きなれたメロディーが耳に届いてきた。 携帯がなっている。
慌ててかばんから携帯を取り出し、その画面に表示された名前を見て首をかしげる。
3日間も合宿で一緒だったのに。 わざわざ別れてから電話をかけるなんて何の用事があるのだろう?
ピッ
「はい、もしもし……」
〜FIN〜
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