ぽかぽかとしたいい天気である。
天根の姿を見つけて駆け寄った巴だったが、寝転がった天根は巴に気がつかない。
と、いうか、寝ている。
間近まで近づいたところで巴もその事実に気づく。
「ダビデさ〜ん?」
軽く呼びかけてみるがやはり反応はない。
別にうたた寝なのか、寝入っているのかを確認したかっただけで昼寝の邪魔をするつもりはない。
なのでそれ以上呼びかける事はしない。
昼休みもまだまだある。
なんとなく隣に座って天根を見下ろしてみる。
この合宿中ですっかり馴染みになった顔だが、こうしてじっと見る機会はそうそうない。
ダビデ像のようだからダビデだ、と六角の誰かが言っていた。
ダビデ像がどんなのか巴の頭にすっとは浮かんでこないのだがこういう髪なのだろうという予測はつく。
それにしても本当にガチガチに固めてある。
どれくらい固いのか少し気になった巴はそっと天根の髪に手を伸ばしてみる。
「やっぱり固い……なんでこんなにガチガチにしてるんだろう?」
それが彼のこだわりなのだろう。
軽く髪を触った程度ではまったく形を変えない。
手を離す。
「それにしても、ダビデさんもこうやって黙っていればカッコイイのになぁ」
天根は寝ているから大丈夫とばかりに本人の前で失礼な言葉を吐く。
普段も無口ではあるが、口を開けば高確率でダジャレなのだから。
「……まあ、ダビデさんはそこがいいんですけど」
起きていたら言えないような言葉がさらりと口から出る。
言ってから少し恥ずかしくなる。
聞いている人が居なくて良かった。
それにしても、本当に今日はいい天気だ。
巴のまぶたも段々と下がってくる。
やがて天根の横で巴も猫のように丸まった。
大丈夫、昼休みはまだまだある。
少しも経たないうちに巴の呼吸が寝息のそれになる。
と、ゆっくりと天根が身体を起した。
横で巴が寝入っているのを見ても、驚く様子がない。
微かに、頬が赤い。
…………起きるタイミングを逸していた天根は巴を見下ろして深く息をつくと、先ほどとは逆に巴の顔を見下ろした。
|