あー、今日は寒いやっさー。 ん? そりゃそーさー。 内地と比べりゃたいしたことないかもしれんけど、 寒い日はそれなりに寒さんよ。 そらー、まあ、雪は降らんけど……。 やーんとこは、山ん中やし、でーじ降るんやろ。 ホワイトクリスマスなんて、島じゃありえんさー。 けど、雪は降らんけど、星空はどこにも負けん。 来年は……一緒の空を見たいな。 雪でも、星でも。 やーと一緒がいい。 |
おはようさんっ! なあ、窓開けて、窓! え、なんもない? ウソやぁ。 ……ほんまに降ってないん? こっちは今朝から雪やねんけど。 せっかくクリスマスに雪やから、自分に教えたろおもて電話したんやけどな。 東京の方が北やから絶対降ってる思てんけどなー。 まあ、ええわ。 今日がクリスマスやっちゅうのは、おんなじやろ? メリークリスマス! これ自分に言うたん、ワイが一番のりかな? |
お、来た来た。 メリークリスマス! え? うん。 まだ全然パーティーの時間より早いよ。 そっちに行く前に、連れて行きたいところがあったからさ。 ここらへんの家のイルミネーション。 特にキレイなところをチェックしてたから、お前に見せちゃろうと思って。 ぐるーっと回ってもどってきたら、 丁度パーティーの時間に合うと思うんだけど。 パーティーの後は、花火があるだろ? それより後とかいったら、遅くなっちゃうし。 そりゃ送るつもりだけど。 ほらほら、時間がなくなっちゃうじゃん。 行っくぞー! |
はい、これ。 何って、クリスマスプレゼント。 クリスマスに呼び出しておいて、プレゼントも持っていないようなヤツだと思われてる? 別に。 急に呼び出したのは俺なんだし、キミがそんなこと気にする必要ないと思うけど。 別に等価交換で何かよこせなんて言うつもりないよ。 あー、キミにとっての俺ってそういう存在なんだ。 うわー、傷つくなあ、ホント……。 だから、そんなことどうでもいいのに。 貸し作ったとか思ってるのかな。 俺にとっては今、この時間キミを独占させてもらってるだけで充分なんだけど。 ……? 何か聞こえたの? 空耳じゃない? |
……え。 ああ、うん、ありがとう。 別に。 ちょっと、意外だっただけ。 俺の誕生日覚えてたってのが。 実際去年忘れてたじゃん。 別にどうでもいいんだけど。 だから、べつにどうでもいいんだって。 言い訳しなくてもいいってば。 あ、ちょっと待って。 はい、コレ。 知ってるよ。 誰も今日がお前の誕生日なんて言ってないじゃん。 これは、その、クリスマスプレゼント。 そんなたいしたもんじゃないから、 あんまり喜んで開けてガッカリしても責任取れないけど。 だから、喜びすぎだって。 ……メリークリスマス。 自分の誕生日に誰かに何かやるなんてちょっとバカバカしいけど、 まあ、それも、悪くないかもね。 |
悪いな、急に呼び出したりして。 ん? ああ。 さっき、式が終わったところだ。 これで、この制服も着納めだからな。 最後に、お前にこれを渡しておきたくてな。 他の奴らと違って一年半しか着ていない制服だが、俺にとっては思い入れの強い一年半だ。 色々なことがあった。 嫌なことも、腹が立つことも。 けれど、思い返そうとすると頭に浮かぶのは楽しかった事ばかりだ。 幸せな一年半だったと、そう思う。 お前に出会えたことも含めて、な。 で、だな。 その一部分だけだが、お前にもらってもらいたい。 俺の、一年半の思い出の一部を。 ……受け取ってくれるか? |
で、わんもまあモテないわけでもないし、 明日になったら、第二ボタン、くれとか言われるかも知れねーだろ。 いや、そうじゃなくってさ。 あー……えーっと……。 要するにだな……。 …………やーが、予約しとかんか、って事だよ。 な、なんでそこで笑うんだよ! 本気だっての! まあ、……そもそもやー以外に渡す気は初めっからねーんだけど。 |
なんでこんなとこにいんだよ。 探しちゃったじゃん。 さっき? うん、校門のところにいたけど? え? ……あー、あれ、見られちゃってたのか〜……。 そっかそっか。それでこんなとこでスネてたんだ。 違うの? うん、第二ボタンちょうだいって言われたんだけどね。 悪いけど、断っちゃった。 『第二ボタンは好きな子にあげるつもりだから』って。 だから、ほい。 お前にやるよ、これ。 だから、機嫌なおしてくんない? |
……何。 俺まだ寝てたんだけど。 なんだよ……休日の朝くらいちょっと朝寝したって許されると思うんだけど。 ……外? 外に何があるってのさ。 わかったよ。見ればいいんだろ、見れば。 あ。 寒いと思ったら、積もってたんだ。 わざわざ、これ教える為に電話してきたわけ? ……キミって本当、変わってるよね。 で。 休みの日に叩き起こされて目がすっかり醒めちゃったんだけど。 責任とってくれるのかな。 とりあえず、今日一日付き合ってくれる? |
おはよう。 随分早いな。どうかしたのか。 ん、外? ああ、雪でも積もったのか。 昨日の夜の時点での積雪の確率は75%だったからな。 ……何を怒ってるんだ? 俺はデータに基づいた客観的事実をだな……ああ、わかったわかった。 悪かった。 わざわざ伝えてくれてありがとう。 ……しかし、今日はこの様子では一緒に練習は少々無理があるな……。 ん? そこは予測してなかったのか? まあ、仕方がない。 だがせっかくだ。 たまには、テニス抜きで会わないか? |
おはよう。 こんな早くに、どうかしたの? 外? ……特に変わりはないみたいだけど……。 え、雪? ああ、そっちは結構降ったんだ。 こっちはそれほどじゃなかったからもう溶けちゃったみたいだ。 いや、別に気にしないでいいよ。 もう起きてたし。 ……まだ、そっちは積もってるんだよね。 それじゃあ、今からそっちに行くよ。 もっともキミが良ければ、だけど。 だって、わざわざ俺に電話してまで見せたがってくれたんだから。 一緒に見たいなって思うじゃない? |