え、用件ですか? 別にありませんよ。 ええ、何の用もありません。いけませんか? そうですね、ボク自身も不思議です。 こんな夜遅くにキミの声を聞く為だけに電話をかけても何のメリットもない。 ……いえ、違いますね。訂正します。 ボクにとってのメリットはありましたね。 何かって? んふっ、それは秘密ですよ。 ダメです。教えられません。 少なくとも、今はまだ、ね。 |
え、あー、いや、別にどうもしねーんだけどな。 お前は元気にしてっかな、って。 へ? あー、そうだよな、こないだ会ったとこだよな。 ……あーもう! 違う! 単に、電話したかっただけだよ! だーかーら、なんでそういう風に考えるんだよお前は! ったく……あ? じゃあなんでだって? 単に電話したかっただけ……じゃなくて……お前の声が、聞きたくなったから…… あー! やっぱ今の無し! 忘れろ! 今すぐ忘れろ! ……お前と話してるとリズム狂いっぱなしだぜ、ホント。 |
いや、用事はないよ。 君は今どうしてるかな、って思ったら声が聞きたくなったから。 ……照れた? ああ、待って、ごめんごめん。 別にからかった訳じゃないんだ。 うん、俺は本気だよ。本当に。 だから、機嫌直して。 頻繁には会えないんだから、せめて声を聞かせてくれないかな。 ね。 ……え、ずるい? なにが? |
お元気ですか? え……あ、そりゃそうですよね。 あはは、失礼しました。 用件ですか? ……あー、その、ですねー。 …………。 わ、忘れました。 はい、どういう用件で電話を掛けたのか、ど忘れしちゃいました! 忘れちゃったんです! スイマセン! …………。 ………………。 ええと、すいません、白状します……。 本当の理由はですね。 ……えーっと、その……笑わないでくださいよ? 絶対ですよ? 寝る前に、声が、聴きたいなって、思って…………。 ……………………。 わ、笑うのも無しですけど黙りこむのも無しです! あーもうやっぱ今の嘘です、ウソ! 本当はやっぱりど忘れしちゃっただけです! も、もう、切りますからね! 失礼しました! え? …………! |
今日も部活? お疲れ様。 そういえば普段キミはどういう練習をしているのかな。 え? 用事? いや、別にないよ。 ……いや、そうでもないかな。 用件はいま果たしているところ。 うん、キミと話しているだけだね。 はは、まさか。 俺は乾や柳と違ってデータを取ったりはしないよ。 ただキミと話す事が目的。 キミと話すこと、キミの声を聴くこと。 それが目的。 フフ、言っておくけど、俺に用件を言わせたのはキミだよ? |
部屋にいるけど。うん。 だって、直接部屋に行ってもお前絶対に開けないじゃん。 まあ、電話も取らないかも知れないと思ったけど。 ……とりあえず、電話だったらまたさっきみたいに感情的にならないかもしれないし。 なんでもない。 その、さっきはごめん。 ちょっと言い過ぎた。 何それ。 まるで俺が絶対に自分の非を認めないみたいじゃんそれじゃ。 うるさいよ。 ただ、今日は…… 今日、最後に聞いたのがお前の泣き声ってすごい嫌だったから。 なんでもない。 言わない。 もう言わない。絶対言わない。死んでも言わない。 …………おやすみ。 |
あ、ゴメン。 うん、ちゃんと聞いてるよー。 へ? ホントだ〜、いつの間にこんな時間たってたんだろーねー。 え、大丈夫だよー。 さすがに電話しながら寝たりはしないって。 ……多分。 えー、まだ話そうよ〜。 そう? ……ん、分かった。 なに? うん、そりゃそーだよ〜。 寝るより好きな事、テニスだけじゃないよ。 こーやってキミの声を聴いてるの、俺大好きだよ? |
ええ、こちらも今日はいい天気でしたよ。 いえ、別に言うほど暑くはないですが。 気温はそれほどそちらと変わりません。 は? ああ、用件。 ……無粋ですね。 そんなに早く俺との会話を切り上げたいですか? 冗談ですよ。 確かに通話料はかかりますが気にして頂くほどの事はありません。 用件は、そうですね。 貴方の声を聴きたかった。 それでは駄目ですか? おいそれと顔を見る事は出来ませんからせめて、 声くらいは聴かせていただいても罰は当たらないでしょう? ……もしもし? 俺は沈黙にまで通話料を払う気はありませんよ? |
今日んとこはここらへんにしとこうかの。 ん? じゃな。 俺の用件はまた今度にしとく。 いや別に構わんよ。 急ぎの用でもないし、 今時間を気にして話すよりまた後日の方が俺もいい。 じゃからまた都合のいい時にお前さんがかけてきてくれるか? あー、気にせんでいいよ。 俺も楽しかったから本題に戻らんかったんじゃし。 ……そもそも本題なんぞ初めからないしの…… ん? いーや? なんも言うとりゃせんよ? |
ははは、そらまあこっちはあんなんばっかりやからな。相変わらずや。 ん? あ、今まずかったんか? ちゃうんやったらええねんけど。 忙しいんやったらまたかけなおそか思て。 いや、せやかてこっちも用事があるわけちゃうしなあ。 そうや。 ただ単に、アンタの声聞きたかったっちゅー話や。 当ったり前や。 アンタやから、聞く価値あるんやんか。 それでも、これでも俺としては自制しとるつもりやねんけど。 ……ほんま? アカンアカン、 あんまり調子乗らせたら、四六時中電話かけてまうっちゅうねん。 |
皆、変わりはないか? …………そうか。 それならいい。 いや、別にそういうわけじゃない。 俺が居ないからといって、お前達の気が緩むこともないだろう。 その点に関しては、お前達を信頼しているつもりだ。 では何故? そうだな。 何故だろうな。 俺にもそれははっきりとはわからない。 ただ……ただ、なんとなく、お前の様子が気になった。 声を聞けば、安心できるような気がした。 それだけだ。 ん? ああ、そうだな。 安心した。 これからも、お互い気を抜かず頑張ろう。 では、な。 |
こんな時間にゴメンね? まだ、起きてたかな。 そう? それなら良かった。 うん、別に用事はないんだけどね。 眠る前にキミの声を聴けたら、 ラッキーな夢が見られそうな気がしたから。 で、かけてからキミがもう寝てたらどうしようって気が付いちゃってさ。 まだ起きててよかった。 うん、でも本当はキミの声を聞いている今、既に俺はラッキーな気分だけどね。 え、何、疑ってる? ホントだってば! 願わくば、キミもそう思ってくれればいいんだけど。 |