ボクはキミの笑った顔が好きだよ。 キミの笑顔を見ると、理由もなくボクまで幸せな気分になれるから。 でもね、それは心からの笑顔だけだよ。 表情だけ笑って見せても、それは本当の笑顔じゃない。 ……そう、今みたいに。 そんな哀しい笑顔は、ボクは好きじゃない。 え? ああ、うん、わかるよ。 キミ自身が思うよりずっと、ボクにはキミの事がわかる。 隠したってダメだよ。 だから、隠さないでもいいよ。 今は、泣いたって怒ったっていい。 本当の感情を剥き出しにしてくれていい。 もしもボクが傍にいることで支えになるのなら、ボクはキミの隣にいるから。 だから……隠さないで欲しい。 ……そしてまた明日、心からの笑顔を見せて欲しいから。 |
……本当にお前のデータはまったく予測不能だな。 あらゆる面において。 予測が立てられないから、対策も立てようが無い。 何もかもが突発的で対応に困る。 降参だ。 俺の負けを認めよう。 だから、教えてくれないか? お前が今隠そうとした涙の理由を。 ああ、その程度の誤魔化しが効くほどは俺は甘くない。 正直不愉快だな。 そんなにお前にとって俺は頼りないか? ……すまない。いまのは八つ当たりだな。 ただ、俺がお前の支えになりたがっていることだけは、わかってくれ。 |
オイ、なんかあったのか? なんでもない、じゃねぇだろ。 お前自分の顔、鏡でよーく見てみろ。 笑ってるつもりかもしれないけど笑えてねぇぞ? ……うわっ! あー、その、参ったな。泣くなよ……。 いやでもまださっきみたいに変にガマンされてるよりマシか……。 えーっと、だな。 俺は今離れていた方がいいか? 一人でいたいとか、泣き顔見られたくないとかなら、そうする。 けどだな、 ……あー、サエの奴ならこんな時もっと巧く言えるんだろうな…… 俺はだな、出来ればお前の傍に付いててやりてぇとか思ってるわけだが。 |
わー、不細工な顔。 何、怒ったの? 怒ったってしょうがないじゃないか、本当の事なんだから。 ……キミさあ、そろそろ自分にポーカーフェイスなんか出来ないって自覚したら? 変に無理して笑ってみたって全然隠せてないし不細工な顔になるだけだって。 大体ムカつくんだよね。 そうやって俺に心配かけといてそのくせ何も言わないってどういう事だよ。 あー、俺なんかには相談するだけ無駄? そうだよねーなんの解決にもならないだろうしね……。 けどさ。 言うだけでも気が楽になるってない? 我慢して抱え込んでるよりずっとマシじゃない? どんな馬鹿馬鹿しい事でも、とりあえず聞くだけは聞いてあげるからさ。最後まで。 キミの気が済むまで、ずっと。 |
なあ、今日お前元気なくね? なんかあった? あ、そう。 わりーな、変な事言っちまって。 …………。 ……………。 ………………。 おい、やっぱさっきのウソだろ。 バレバレだぜ。明らかに元気ねーもん今日のお前。 なに、俺様じゃ頼りになんない? ヤなんだよな。こういうの。 気づかないふりとか俺出来ねぇし。 あー、いや違うな。出来っけどしたくない。 だって、お前が一人でなんか抱え込んでんの見逃すのイヤじゃん。 言っとくけど他のヤツに相談してんならいいんじゃねぇぞ。 『俺様が』『お前の』力になりたいの。 ココ重要な。 だからさ、いつもみたいに戻れるよう、たまには俺に頼ってみない? |
あ? どうかしたのかお前。 何が、って……いつもとテンション違うだろ。 普段はもっと偉そうで傍若無人で先輩を先輩とも思わないような…… ……ああ、腹でも壊したか? 痛ッ! いきなりなにしやがる! 本当の事じゃねえか! だから、言わなきゃわからねえよお前が元気ない理由なんか! って、ああ? しょうがねえだろうが、気付いた瞬間もう声かけちまったんだから。 ん? ……ああ、そうだよ。 何度も言わせんじゃねえ! 「そうだ」っつったんだよ! 悪いか俺がお前の心配しちゃ! えー、あー、その、だからだな。 調子狂うんだよお前がそんなだと。 迷惑だからさっさと問題解決する手助けしてやろうってんだよ。 ……うるせえよ馬鹿。 |
ちょっと、いい加減にしてくれる? 何が、じゃないわよ何がじゃ! さっきからしてるその顔よ。 そのヘタな作り笑い! 見ているこっちがイライラしてくるわ。 何かあったのならさっさと言いなさいよ。 解決してあげるなんて無責任な事は言わないけれどね。 ……何よ。 ただの気まぐれに決まっているでしょう? 貴方の為じゃないわよ。 さっきも言ったとおり。 私が見ていてイライラするからよ。 だから、今日だけよ、今日だけ。 貴方は敵なんですからね。 そこのところ、忘れないでちょうだいよ。 |
テメェ、いい加減にしろよ。 あぁ? 何が、じゃねぇよ。 さっきから空元気で妙にはしゃぎやがって。 それでなんか隠せてるつもりじゃねぇだろうな。 言っとくがな。 お前の考えてることなんてお見通しなんだよ。 バレバレだ。 何があったかなんて言えとかいわねぇよ。 知りたくもねぇ。 だがな。 隠し切れねぇんだったら無理に隠そうとすんな。 だから内容じゃねぇ。 落ち込んでるんだったら素直に落ち込んだ顔しとけ。 ……無理矢理笑った顔見せられるよりはその方がずっとマシだ。 |
乗れ。 いいから乗れ。 ん、何処にだと。 ……お前、何処に行きたい。 ふざけてねえ。 お前が行きたいところに連れて行く。 何処でもいい。 遠ければヘリを出す。 だから、別にふざけてねえ。 気晴らしくらいにはなるだろうが。 当たり前だ。 俺をだと思ってる。 隠し事なんざ千年早い。 ……だが、まあ別に無理に聞き出す気はねえよ。 だから、代わりに気晴らしくらいはさせてやるってんだろうが。 ……それくらいはさせろ。 |
おい。 ……。 ………。 あ? ああ………………。 いや、そうじゃねえ。 その、だな……。 な、俺は別におかしくねえ! 様子がおかしいのは、お前だろうが! あ。 い、いや、そのだな。 ……まあ、そういう事だ。 なんかあったのか。 あんま、心配かけんじゃねえ。 |
あれ、どうかした? 今日は元気ないよ。 ダメダメ、隠したって。 キミのいつもの笑顔はそんなんじゃないよ。 俺にはお見通し。 そりゃそうだよ。 いつもキミを見てるからね。 普段と違ってたらすぐにわかる。 え? うわショック、俺そんな風に思われてた? 確かに軽く見え……軽いかも知れないけど今は真剣なんだけどなあ。 絶対茶化したりしないし、 君の力になる。誓うよ。 だから俺のこと、信じてよ。 だって、俺もいつものキミの笑顔を見たいんだから。 |