サモナイX・夜会話集

〜ファング〜


第四章 第五章 第六章・前 第六章・後 第七章 第八章 第九章 第十章 第十一章 第十二章 第十四章 第十五章
 第十六章 第十八章 ED





第四章

よっ、まだ起きてたのか?
王女さん。
夜ふかしはお肌の天敵だぜ。
早く休んだ方がいいんじゃないか?

ねえ、ファングさん。
一つ聞きたいんだけど…。
いいかな?

おっ、王女さんに質問されるなんて光栄だな。
何でも聞いてくれよ。

どうして、ローングランドを離れて、私達に力を貸してくれるの?

ああ、その事か。
別に大した理由じゃないぜ。
王女さん。あんたを、気に入ったからさ。

えっ!?

帝国兵が迫る神殿へ、あんたは危険を承知で行った。
さらに、あのザイツって将軍相手にも、一歩も引かなかった。
そんなあんたを、オレは気に入っちまったんだ。
こいつを、守ってやりたいって思っちまったんだよ。

ファング…さん。

いけね、王女さんに失礼なこと言っちまったかな?

ううん、そんな事ない。
ありがとう、ファングさん。
これから、よろしくお願いします。

ああ、任せとけ。


――俺があんたを、守ってやるよ。――


  ◇  ◇  ◇


よぉ、ディラン。
もしかして、誰かと待ち合わせか?
だとしたら、オレ、ジャマしちまってるな。

いや、そんなんじゃないよ。
気にしないでくれ。
そうだ、ファング。
聞きたい事があったんだ。
どうして、ローングランドを離れて、俺達に力を貸す気になったんだ?

そーだな。
一言で言えば、放っとけなくなったんだよな。
一緒に行動して改めて分かったが、お前らかなりヤバイ状況だぜ。
帝国の皇子と、セレスティアの王女。この二人を帝国が放っとくはずがない。
そう考えると、ローングランドに戻ってる場合じゃないって思ってな。

俺達と一緒にいれば君にまで危険が及ぶかもしれない。
それでもいいのか?

おいおい、この片翼のファング様をなめるなよ。
危険とスリルは大歓迎だぜ。

そうか、ありがとう。
ファング。
君が力を貸してくれる事、すごく心強い。
これから、よろしく頼む。

ああ、こっちこそな。


――お前の事が、放っておけないだけさ。――


※ファラ編  ディラン編に比べてメチャクチャ主観的感情! ひゃっほう!
※ディラン編 お人よしなのか……?

第五章

よっ、王女さん。
まだ起きてたのか。

ファングさんこそ、まだ眠らないんですか?

ああ、オレは夜の見張りがあるからな。
もうアークランドを召喚獣だらけにされるのはゴメンだぜ。

私にも、見張りのお手伝いをさせてください。

えっ、王女さんが?

はい、何もかも頼りっぱなしじゃ、良くないから。

フハハハ、あんたやっぱり面白いよな。
逃げてきたとはいえ、王女様なんだから、もっと威張っててもいいのに。
掃除に始まり食事の支度。
オレ達の下着なんかも洗濯してくれるんだからな。
オレは、嫌いじゃないぜ。
王女さんのそーゆーとこ。
でもま、見張りはオレに任せときな。
こういう時こそ、オレの翼の出番なんだからな。
王女さん、帝国があんな手に出て不安だろうけど心配すんなよ。
あんたは、ローングランドで引き受けたんだ。
このオレが、命をかけてでも守ってやっからな。

ファングさん…。

何てね、ちょっと臭いセリフだったな。


(ありがと、ファングさん)

――あんたは俺が守ってみせるぜ。――


  ◇  ◇  ◇


よお、ディラン。
まだ起きてたのか?

ファングこそ。

オレは、見張りの交代の時間なんだ。
あんな事があったからな。
これまで以上に、見張りを強化してるんだ。
もうアークランドを召喚獣だらけにされるのはゴメンだぜ。

だったら、俺も一緒に行こう。

いいっていいって。
ここは翼のあるオレらに任せとけよ。

でも、ローングランドに頼りっぱなしは良くない。
だから…。

ディラン。
これは、オレ達の仕事なんだ。
あんたは、あんたにしかできない事をやってくれればいい。

俺にしかできない事?

そうだ。それが何なのかは、頭の悪いオレには分からないけどな。
じゃあな、早く寝るんだぜ。


俺にしか、できない事…か。
そんなものがあるんだろうか?


――あんたにしかできない事があるんだぜ。――


※ファラ編  ちょ、下着の洗濯はさすがにどうかと思うよ!? 断れよローングランド!
※ディラン編 この会話を聞いている限りでは頭が悪いようには到底感じられませんが。


第六章・前

よっ、王女さん。
いよいよ明日だな。

そうですね。

しかし、王女さんには驚かされるよ。
可愛い顔して、あんな大胆な作戦を考えるんだもんな。
ホント、大したもんだぜ。

そんな事、ありません。
だって、自分で発案しておきながら、こんなにも不安になってるんだから。
こんなにも、怖くて、逃げ出したい気分になってるんだから。

…王女さん、オレの手を握ってみな?

え?

いいから、握ってみなよ。


あっ…。

震えてるだろ?
ローングランドって言っても帝国とハデに戦ってたのは10年以上前。
オレにとっちゃ明日が、初めての本格的な戦いさ。
このオレですら、内心でビクビクしてるんだ。
王女さんが不安に思うのも当然の事だぜ。

ファングさん。

恥ずかしい事、知られちまったかな?
明日の戦いで挽回させてくれよな。
明日のオレの活躍、楽しみにしててくれよ。


ありがとう、ファングさん。

――あんたの前だと、素直になれるぜ。――


  ◇  ◇  ◇


おいおい、早く寝た方がいいんじゃねえか
明日は大変だぜ。

ああ、分かってるよ。
すぐに寝るつもりだ。

それにしても、ディラン。
お前ってスゲー奴だよな。
オレ、正直驚いたぜ。

え?

王都に潜入して情報を集めて、あんな計画を立てちまうんだから。
しかも、みんなを説得しその気にさせちまった。
本当に大したもんだよ。

おだてたって何も出ないぞ。
ファング。

おだててんじゃねーよ。
本当にそう思うんだ。
お前には、何かある。
人の上に立つ、素質ってゆーか何かがな。
だからこそ、オレはお前の作戦に乗ったんだ。
明日は、一緒に大暴れしてやろうぜ。
帝国の連中に一泡も二泡も吹かせてやるんだ。

ああ、頼りにしてるよ。
ファング。


――お前になら、俺の命、預けられるぜ。――


※ファラ編  くそ、あっさり弱みをさらけ出せるファングが格好いい……!
※ディラン編 年下にこんなに素直に賞賛の意を表せるファングはいいヤツですねえ。


第六章・後

よ、王女さん。
まだ起きてたのか?

ファングさん、どうして?

いや何、王女さんが悩んでる様子だったからな。
ちょっと様子を見にね。

すみません、心配かけちゃって。

やっぱり、女王の事で悩んでんのか?

はい、そうです。

まー、オレみたいなのが言う事じゃないだろうけど…。
あんたが女王になるのが、一番いいんじゃないか?
セレスティアの民もアークランドの連中も喜ぶだろうよ。

だけど、私に女王なんて務まるかどうか…。
責任の重さに押しつぶされちゃうんじゃないかって、不安なんです。

ひとりで背負う必要はないんだぜ、王女さん。
あんたにはたくさんの仲間がいるんだ。
このオレも含めてな。
困ったり悩んだら、いつでもオレを頼ってくれていいんだぜ。

ファングさん。

ま、よく考えて結論を出せばいいさ。
じゃあな。


(ファングさん、おかげで、勇気が出ました)


――大丈夫、オレが支えてやるさ。――


  ◇  ◇  ◇


よっ、国王様。
夜ふかしは体に毒だぜ。

やめてくれよ、ファング。
まだ引き受けるかどうか決めてないんだから。

悪い悪い、つい、調子にのっちまった。
だけどよ、そんな、固っ苦しく考えなくていーんだぜ。
別に国王だからって何もかも決めなきゃならないわけじゃない。
みんなで決めてみんなで行動すりゃいい。
これまでとなんら変わらないじゃないか。

そう言われると、そうかもしれないな。

だろ? 相談だったら、いくらでも受けつけるからよ。
みんなで一緒に、がんばってこーぜ。
おっと、オレも寝なきゃな。明日から忙しそうだし。
じゃーな、いい返事を待ってるぜ。


(ありがとう。ファング。
 おかけで、決心がついたよ)


――ま、気楽にいこうぜ、王様。――


※ファラ編  はじめ「仲間が」って言ってたのにその後「オレ」限定になってる!
※ディラン編 格好いいなファング! 年上っぽい!


第七章

よお、王女さん。
こんな寒いとこにいて大丈夫か?

ファングさんこそ、そんな薄着で寒くないんですか?

はっはっ、このオレが寒さなんかに負けるわけ…。
ブヘックション!

ほら、やっぱり。
早く宿に戻った方がいいですよ。

そうだな、だけどその前にあんたにちょっと言っておきたくてな。

えっ?

ノイン王子の事、驚いたよ。
洗脳されて、帝国側にいたなんてな。

…すみません。
これまで秘密にしてて。

いや、いいんだよ。
言いたくなかった気持ち。
オレは分かるからな。
だから、気にするな。

ファングさん。

兄貴の事、心配だろうけど大丈夫だからな。
洗脳は必ず解ける。
元の兄貴が、必ず戻ってくるからな。

ありがとうございます、ファングさん。

――それまではオレが兄貴の代わりさ。――


  ◇  ◇  ◇


ひゃ〜〜〜、さみ〜〜〜。
ディラン、よくこんな寒いとこいられるよな。
ううう、オレに残された片羽根が、凍ってもげちまいそうだぜ。

ファング、こんなこと聞いて気を悪くしたら謝るけど…。

オレの左の羽根はどうしたか? だろ。

事故か何かなのか?

違うよ。召喚戦争の時、帝国の奴に斬り落とされたのさ。

えええっ! そんな、その時代なら、ファングはまだ子供じゃないか!

ああ、子供さ。
でも、そんな子供のオレにも、容赦なく刀は振り下ろされた。

すまない、ファング。
聞くべきじゃなかった。

いいって、そのうち自分から話すつもりだったしな。
こんなだから、最初は満足に飛べずに、みんなにバカにされたさ。
でも、必死になって鍛えて、今じゃローングランドで一番早く飛べるんだぜ。

それはスゴイな。
感心するよ。

どんな絶望からも、必ず這い上がれる。
それが、オレがこの片羽根から学んだ事さ。
おっと、何かオレ、ちょっと偉そうに話しちまったかな。
じゃーな、ディラン。
カゼひく前に、宿に戻るんだぜ。


(どんな絶望からも、必ず這い上がれる
 いい事を教わった気がする。ありがとう、ファング)


――どんな困難でも、跳ね除けてやろうぜ。――


※ファラ編  薄着ってのは服着て成立する言葉だぜファラ(笑)。やせ我慢バンザイ。
※ディラン編 男前が! 男前がいる! 裸なんだから寒いに決まってるじゃんバカとか冒頭で思ってゴメン!(笑)


第八章

よっ、王女さん。
楽しんでるか?

楽しんでる…?

そうだよ、オレ達は今、神竜ハインラインの背中に乗ってるんだぜ。
この空の旅をたっぷり楽しまなきゃ損だぜ。

フフフ、ファングさんらしいですね。
いつだって陽気で、楽しそうで。そういうところ、私尊敬します。
ファングさんが笑ってるのを見ると、私、元気が出るんです。

まいったな、そんな大した事じゃないのによ。
ただまあ、どうせ生きるなら楽しく生きなきゃってオレは思ってんだ。
たとて、どんなに苦しくても、絶望的でも、それでも、オレは笑ってやるよ。
それで、王女さんが少しでも元気になるってならなおさらだ。

ファングさん。

おっと、さすがにうかれてばかりだと姉御にどやされるな。
おやすみ、王女さん。


ありがとう、ファングさん。

――あんたの笑顔、最高だぜ。――


  ◇  ◇  ◇


よっ、ディラン。
何してんだ?

驚く事がありすぎたせいか、どうも眠れなくてさ。
ファングもそうなのか?

オレは違うね。
眠れないじゃなく、眠らないんだ。



神竜の背中に乗って空を飛んでるんだぜ!
こんなスゲー体験してんだ。
眠っちまったらもったいないだろ!?

確かに、そうかもしれないけど。

いくらオレがローングランドで一番、飛ぶのが得意な男だって言っても、このスピードは、真似できないんだよな。
あー、ちょっと悔しいぜ。
マナの門ってとこのカタがついたら、オレ、自力で帰ろっかな?

ファング、いくら何でもそれは難しいと思うぞ。

そっか、やっぱムリか。
でも、悔しいなあ。
何とかならねえかな。


(あの様子じゃ、本当にやりかねないぞ。見張っておかないと)


――興奮して眠れそうもないぜ。――


※ファラ編  ファングのこういう二枚目半なところがとてつもなくツボなのです。
※ディラン編 わーい、前回の話が吹っ飛ぶほどのガキっぽさのギャップがステキ。


第九章

お疲れだったな、王女さん。
ずっとあのお子様の相手をしてなくちゃならなかったんだろ?

私は平気です。何だか妹ができたみたいでうれしいんですよ。

そーだな、確かに本当の姉妹みたいに見えるぜ。
なんか、オレも昔を思い出しちまったな。

ファングさんにも妹さんがいたんですか?

いいや、オレは兄貴がいたんだよ。
小さいころは、兄貴の後ばかり追いかけてた気がするぜ。
生きてりゃ、オレよりいい男になってんだろうな。

…亡くなってしまったんですか?

ああ、召喚戦争の時にな。
帝国の奴にやられたんだ。
オレは別に、帝国の連中すべてを憎んでるわけじゃない。
でも、あいつだけは絶対に許すつもりはない。
オレから、兄貴や家族、仲間を奪った、あの女だけは…。

ファングさん…。

悪いな、しめっぽい話をしちまって。
おやすみ、王女さん。

(ファングさんの、あんな険しい表情私、初めて見たよ
 私にできる事って、何かあるのかな?)


――あんたを見てると、兄貴を思い出しちまうよ。――


  ◇  ◇  ◇


よお、ディラン。
まだ起きてたのか。

ファングは、どうしたんだ?
疲れたから寝るって言ってたけど。

ああ、このまま飛んでれば、アークランドが見えるかなって。

故郷が恋しくなったのか?

そんなんじゃないよ、だってオレの故郷はアークランドじゃない。
辺境の、小さなランカスタの村さ。
召喚戦争の時に、帝国の奴に焼かれてもうなくなっちまったがな。
家族も、村のみんなも一緒に…。

…ファング。やっぱり、帝国を恨んでいるのか?

そりゃー、まあな。
だからって、帝国や帝国兵に仕返ししてやろうとか、そんな事は思ってないぜ。
帝国にだって、あんたやザイツみたいないい奴がいるって分かってるからな。
だけど、許せない人間がひとりだけいる。
そいつだけは、オレの手で…。

ファング?

おっといけね。
オレ、何しゃべってんだろ?
何だか眠くなったから、オレ、寝るよ。
アークランドが見えたら、オレの代わりに眺めといてくれな。


(許せない人間がいる。ファングは確かにそう言った
 一体、誰の事なんだろう?)


――あいつだけは、許せない………。――


※ファラ編  ファラ相手だとあんまりファング、ごまかさないんですね。
※ディラン編 来たーっ! しかしこのすっとぼけっぷりからしても絶対ファング頭悪くないって。多分。


第十章

今日は、本当に悪かったな。
あんたにも、みんなにも迷惑をかけちまって。

いいんです。
ファングさんの気持ちを思うと、私なんかが責められません。

その事なんだがな、王女さん、あんたには知っていて欲しいんだ。
どうして、オレがあの女をここまで憎むのか。
ただ、家族を奪われたってだけじゃないんだ。
あの女が、オレの家族の心まで、もてあそんだからなんだ。

えっ?

オレの村は、森の中にあった。戦争中だったが、わりかし平和だったんだ。
そんな中、ガキだったオレは森で行き倒れてるあの女を見つけた。
村で目を覚ましたあの女は、記憶喪失になっていた。いや、そのフリをしていたんだな。
あの女は、村で暮らし始めた。
すぐに、みんなに受け入れられたよ。
やがて、オレの兄貴との、結婚が決まったんだ。
オレは嬉しかった。
姉貴ができて、本当に嬉しかったんだ。
だけど、結婚式の夜。
あの女は村に火をつけた。
炎から逃れようと飛び立つオレ達を、あの女は笑いながら銃で撃ち落とした。
オレの家族も、もちろん兄貴もな。

そんな…そんなヒドイ事を…。

だから、オレはあの女だけは許せないんだ。
おっと、心配するなよ。
もう前みたいにひとりで飛び出したりはしないからな。
長話をして悪かった。
それじゃおやすみ、王女さん。


ファングさん…。

──もう勝手なことはしないさ。──


  ◇  ◇  ◇


今日は、すまなかったな。
本当に、反省してる。

もう、いいんだよ。
気にするなよ。

ディラン、いろいろ考えたが、お前だけには、話しておきたくてな。
どうして、オレがあの女を憎んでるのかって。

アメリアが、ファングの家族と、翼を奪ったからだろ?

そうなんだが、それだけじゃないんだ。
オレがあの女を憎むのは、あの女が、オレの家族や村のみんな、一番に、オレの兄貴の気持ちを踏みにじったからなんだ。

どういう事なんだ?

あの女を、最初に見つけたのは、オレだった。
森で、行き倒れているのをガキだったオレが見つけて、村へ連れてったんだ。
村で目を覚ましたあの女は、記憶喪失になっていた。いや、そのフリをしていたんだな。
あの女は、村で暮らし始めた。
すぐに、みんなに受け入れられたよ。
やがて、オレの兄貴との、結婚が決まったんだ。
オレはうれしかった。
姉貴ができて、本当にうれしかったんだ。
だけど、結婚式の夜。
あの女は村に火をつけた。
炎から逃れようと飛び立つオレ達を、あの女は笑いながら銃で撃ち落とした。
オレの家族も、もちろん兄貴もな。

そんな事が…あったのか。

だから、オレはあの女だけは許せない。
絶対に!

ファング…。

悪い、長話になっちまったな。
お前だけには、言っておきたかったんだ。
じゃあな、おやすみ。


(ファングに、そんな過去があったなんて)


――お前には俺の気持ちを分かって欲しいんだ。――


※ファラ編  ディラン編に比べてちゃんとファラを気づかってる描写が増えてる…!
※ディラン編 詳しい因縁はここで聞けるんですねえ。ファング、切ないなぁ。


第十一章

お、いたいた。王女さん。
ちょっと文句言いたくて探してたんだぜ。

文句?

ああ、王女さんが兄貴を助けにいった事さ。

ごめんなさい。
勝手な事をして、心配をかけてしまって。

そうじゃねえよ。オレが文句を言いたいのはそこじゃない。
どーしてオレを連れてってくれなかったって事だよ。

えっ?

オレだって、すぐにでも王女さんの兄貴を助けに飛んでいきたかったんだぜ。
それに、危険な所へ行くなら、オレが一緒に行かなきゃな。
勝手な話かもしれんが、オレはあんたを守る騎士のつもりなんだぜ。

ファングさん。

ま、そういう事だから。
次があったら必ずオレに声かけてくれよ。
犬やお子様になんかには、負けない働きをしてみせるぜ。


ファングさんが私を守ってくれる騎士…か。
フフ。

――オレはあんたを守る騎士だ、忘れないでくれよ――


  ◇  ◇  ◇


お、ここにいたのか。
探したんだぜ。

俺に何か用事なのか?

いや、こうやって無事にノイン王子が戻ってきたから、お前の国王生活も終わりだろ。
だから、ご苦労だったなって言っておきたかったんだ。
みんな、お前に助けられた。
ホントに、ありがとよ。

いや、こっちこそいたらない国王で申しわけなかったよ。

でも、国王じゃなくなったからって楽になるなんて思うなよ。
これからだって、みんなはお前を頼りにするだろうしな。
もちろん、このオレも。
そういう事だから、引き続きしっかり頼んだぜ。
じゃあな。


(ファング、ありがとう)


――これからも頼りにしてるぜ。――


※ファラ編  うわぁ可愛いなファング! すねた顔にメロっと来ます。くそうやっぱファング好きだ。
        個人的には戦闘厳しかったので本気でファングいて欲しかったですよ。
※ディラン編 短っ! けどファングの『このオレも』って台詞が結構好きだったりする。


第十二章

ファングさん…。

見つけたぜ、王女さん。
さ、かくれんぼは終わりだ。
みんな、王女さんのこと心配してるぜ。

ねえ、ファングさん。
どうして、お兄様だったのかな。

えっ?

お兄様は、これから国王になって、王国を導いていかなきゃならなかったのに。
どうして、お兄様が犠牲になっちゃったんだろ。
お兄様じゃなくって、私が犠牲になれば良かったのに。

バカヤロウ!

!? ファング…さん。

そんな事を言って誰が一番悲しむと思う。
あんたの兄貴だ。
ノイン王子は、命をかけてオレ達を救ってくれた。
だからこそ、オレ達はこの命を大切にしなきゃならないんだ!

………ごめんなさい。
おかしな事を言っちゃって。

いや、いいんだ。
オレも、大声出して悪かった。
王女さん、一緒に行こうぜ。
オレは、あんたにいて欲しいんだ。

ありがとう、ファングさん。
一緒に、行きましょう。

──オレはあんたにいて欲しいんだ、迷惑か?──


  ◇  ◇  ◇


やっぱりまだ起きてたか。
ディラン。
お前が引き続きセレスティアの王様なんだ。
さっさと休んで、明日に備えた方がいいんじゃねえか?

俺には、ノイン王子の代わりなんてできない。

何だって?

俺なんかよりも、ノイン王子の方が立派な王国の王になれたはずだ。
命を落とすのは、ノイン王子じゃなく俺の方が良かったのかもしれない。

ディラン、それ以上言うならオレは本気でお前をぶっ飛ばすぜ。
命をかけてオレ達を守ってくれたノイン王子の気持ちを何だと思ってんだ。
オレ達は、ノイン王子のためにも、戦わなくちゃならない。
そうだろ?

ああ、俺がどうかしてた。
俺達は、ノイン王子の想いを引き継がなきゃならなかった。
帝国との戦いに勝利し、平和な世界を作るんだ。

それでいいんだ。ディラン。
オレがいくらでも力を貸す。
一緒に、帝国の野望をぶっ壊してやろう!


――オレがお前を支えてやるぜ。――


※ファラ編  あああ、やっぱファング格好いい!←最早すべてがツボ
※ディラン編 ファング格好いい……!


第十四章

ファングさん。

王女さん、まだ起きてたのか。
しかし、驚きだよな。
ラディウスが、ディランの双子の弟だったなんてよ。
だけど、皇帝グロッケンを倒して、自分が皇帝になっちまうなんてな。
どうしようもない、ロクデナシ野郎だぜ。
そいつと、オレ達は戦わなきゃなんねえんだよな。

そうですね。

なあ、王女さん。
もう、女王なんてやめないか?

えっ?

ラディウスは、オレ達できっちりカタをつける。
帝国を倒して、戦争も終わらせる。
オレが、帰ってくるのを城かアークランドで待っててくれよ。
アンタを、危険な目に遭わせたくはないんだ。

ありがとうございます、ファングさん。
気持ち、すごくうれしいです。
でも、それはダメです。
みんな、私を信じてついてきてくれたんです。
ここで、私だけいなくなるわけにはいきません。

だろーな。そう言うと思ってたぜ。
オレもバカな事を言っちまったもんだぜ。
いくら、惚れた女が心配だからって…。

えっ!

いや、なんでもないよ。
王女さん、最後まで一緒に戦おう。
そして、戻ってこよう。
必ず。

はい、ファングさん。

──必ず帰ってこようぜ、約束だ。──


  ◇  ◇  ◇


ディラン、ショーゲキの事実って奴のせいで眠れなくなったんだろ?
そーだろーな。オレだって、いきなり双子の兄弟が出てきたら驚くもんな。

ラディウスの正体には、本当に驚いた。
まさか自分に、双子の弟がいるなんて思ってもなかったから。
その弟と、俺は戦わなくちゃならない。それが、正直、つらいんだ。

ディラン。そんなのは当たり前だ。誰だって、同じ気持ちになるさ。
だから、ディラン。
オレを頼れ。

えっ?

あんたが、その時になってもためらうなら、遠慮なくオレに言ってくれ。
ラディウスは、俺が倒す。
ディラン、あんたの手は、汚させない。

ありがとう、ファング。
だけど、ラディウスとは自分で戦うつもりだ。
それが、兄として俺がやらなきゃならない事だと思う。

そうか、あんたがそのつもりならもう何も言わないよ。
オレは、あんたと一緒に戦うだけだ。全力でな。


――いつでもオレに頼っていいんだからな。――


※ファラ編  早ッ! ファングさん流石すばやさ一位!(笑)
※ディラン編 ファングの「俺を頼れ」という台詞にクラっときつつも二人称間違ってるのが気になってしょうがない。


第十五章

※本編シナリオ

あーらら、負けちゃった。
いけるって思ったのにな。
このアメリアも、とうとう観念する時が来たって事かしら?

アメリア! お前は記憶喪失を装い、オレの村に来た。
そして、村のみんなの信頼を得た後に、村に火を放った。
お前を愛したオレの兄貴までも、お前はその手にかけたんだ!
お前だけは許さない!
この手であの世に送ってやる!

やめて、ファングさん!

止めないでくれ!
王女さん、この女だけは! この女だけは!

あっ、アメリア将軍!

!!!

どういう事だ?
どうしてお前が、オレを助けるんだ!

さあ…ね。あたしだって、分からない…わ。
もう最期みたいだから、面白い事を…教えたげる。
あたしは…記憶喪失を装ってたんじゃない。
あれは…ホントだったの。
あんたの兄貴との、結婚式の夜…あたしはすべてを…思い出した。
だから、任務を実行した。
亜人の集落を滅ぼせという任務を…ね。
だけど、あの村の連中の顔が、あんたの兄貴の顔が…頭から…離れない。
あたしを、温かく迎えてくれた…あの笑顔が。
もしかしたら、あたしはあそこに戻りたかったのかもしれない。
自分で焼き尽くしてしまった、あの村へ。

アメリアの性格が、ムチャクチャな物になったのは召喚戦争の時だった。
自分のした事に、心が耐えられなかったのかもしれないな。

………くそっ。
こんなのって、ないぜ。


  ◇  ◇  ◇


なあ、王女さんにちょっと聞きたい事があってな。
アメリアが、オレの家族や村のみんなのカタキだってのは変わらない。だけど…。
記憶を取り戻すまでは、村のみんなや兄貴を好きだった。
その気持ちに、ウソはなかった。
それが、何だかすごくうれしいんだ。
これって、やっぱりおかしな事か?

ううん、そんな事ないです。
だって、私も同じ気持ちだもの。

…ありがとう、王女さん。
そう言ってもらえて、オレも楽になったよ。
よし、それじゃ気合を入れなきゃな。
何てったって、明日は帝国との最終決戦なんだ。

ファングさん、これまでつらい戦いばかりだったけど…。
最後に、もう少しだけ力を貸してください。

ああ、任せとけ。
王女さんが思わず惚れちまうくらいの活躍を見せてやるからな。

──オレの活躍を見ててくれよな。──


  ◇  ◇  ◇


悪い…な。ちょっと、話をしたくてな。

アメリアの事か?

ああ、そうだ。
なあ、あの女の言った事、本当だと思うか?
記憶喪失は、フリじゃなく本当だったってこと。

ウソじゃないと思う。
きっと、アメリアは本当の事を話してたんだろう。

やっぱり…そうだよな。
ディラン、オレ、何だか妙な気分なんだ。
アメリアが、オレの家族や村のみんなのカタキだってのは変わらない。だけど…。
記憶を取り戻すまでは、村のみんなや兄貴を好きだった。
その気持ちに、ウソはなかった。
情けないが、そう思うと、少し救われた気分なんだ。

ファング。

ディラン、明日の戦い。
絶対に勝とう。
そして、二度と戦争のない世界を作ろう。

ああ、ファング。

――オレとお前で、世界を変えてやろうぜ。――



※ファラ編  もうとっくに惚れてるよ!(笑)
※ディラン編 本当にいいヤツだなぁ、ファング。


第十六章

よ、王女さん。
まだ、起きてたのか?
戦争は終わって、心配事はなくなったってのに。
どうしたんだ?

うれしすぎて、興奮して眠れないみたいなんです。

ハハハ、それじゃオレと同じだな。
オレも、最高の気分だぜ。
これでもう戦わなくてもすむんだからな。

ファングさんは、アークランドに戻るんですか?

そのつもりだったけどよ、オレも王国で暮らそうかって思ってんだ。

ローングランドはどうするんですか?

姉御がいるから心配ないさ。
それに、帝国と仲良くなるならローングランドも大して必要なくなるだろう。
とにかく、オレは王国で暮らそうと思ってる。
近くにいた方が、王女さん、あんたを口説きやすいからな。

も〜、冗談はやめてくださいよ。

オレの性格だからな、今はそうとられても仕方ない…か。
ま、気長にやるさ。
これからもよろしくな。
王女さん。

──オレはあんたの側にいたい、本気だぜ。──


  ◇  ◇  ◇


どうも、落ち着かなくてな。
なんてったって、ここは帝国の城だから。
ランカスタの俺がここにいるなんて、場違いもいいとこだよ。

気持ちは分かるよ。
だけど、もうそんな事はないんだよ。
確かに、この帝国という国は、まだまだランカスタの民に抵抗がある。
だけど、それもこれから変わっていくんだ。
ランカスタの民とも仲良く暮らしていける。
そんな国に。

そーだな。お前が皇帝になるんだし、そんな日も来るかもな。
だけど、ちょっとばかし残念だよ。
お前とも、これでお別れになると思うとな。

ファング、これまでありがとう。君には助けられたよ。

なーに、それはお互い様だぜ。
ディラン。
帝国は遠いが、オレの翼ならあっという間だ。
もう撃ち落とされる事はないし、いつでも飛んでくるからな。

ああ、待ってる。

――毎日だって、飛んできてやるぜ。――


※ファラ編  ディランだとアークランドに帰るのに、ファラだと王国来るんだ! てかファング可哀想!
※ディラン編 なんか別れの言葉を言われると寂しくなる。


第十八章

オレ、驚きすぎてどうかなっちまいそうだぜ。
女神クラヴィスが復活して、あくり〜んの正体が女神だってわかって…。
さらに、王女さんに女神ファーライトの魂が宿ってたなんてな。

私も、びっくりです。
それと、ちょっと不安なんです。

何がだ?

もし女神ファーライトの魂が覚醒したら、私はどうなっちゃうのかなって。
私、ファラの心は消えちゃうんじゃないかって…。

消させねえよ。

えっ?

いくら相手が女神だからって、あんたを消させたりはしない。
惚れた女は、オレが最後まできっちり守ってみせる。
オレを、信じろ。
王女さん。

ファングさん。

おっと、オレも早く休まなきゃな。
明日は、女神ふたりを相手にしなきゃならないかもしれないからな。
おやすみ、王女さん。


惚れた女…か。
冗談じゃないんだね、ファングさん。

──惚れた女を、守ってみせるさ。──


  ◇  ◇  ◇


明日は、女神クラヴィスとの戦いだ。さすがの俺も少しビビっちまうぜ。
ディラン、お前はどうだ?

そりゃあ、怖いさ。
相手は女神なんだから。
だけど、不思議と気分は落ち着いてるんだ。
多分、仲間の存在が心強いからだと思う。
とくに、ファング。
君が、いてくれるから。

おいおい、おだてたって何も出やしないぞ。

君はいつだってそうだ。
厳しい戦いを前にしても、明るくふるまってくれる。
その明るさに、俺達は何度も救われたんだ。
ありがとう、ファング。

なんか、照れちまうな。
お前にそんなこと言われると。
ディラン、明日の戦い。
必ず勝とうな。
人間とランカスタの民が仲良くなれる世界がこようとしてんだ。
いくら女神だからって、それをフイにさせるわけにはいかねえぜ。

ああ、そのとおりだ。
必ず勝とう、ファング。

――オレだって、お前の強さに助けられてるのさ。――


※ファラ編  ファング格好いい! ヤバイこれ以上株上げてどうすんの!
※ディラン編 ディランがちゃんとファングのそういうところを分ってくれてるのが嬉しい。
         そしてファングの照れ顔は反則……!


議会イベント『エルドガ要塞の暴走』

な、何とか倒したな。
ふ〜、シビれる奴だったぜ。

要塞の暴走も止まったようね、良かったわ。

みなさん、感謝します。
被害を出さずにすみました。
もしかして、あなたはファングさんですか?

ああ、ファングはオレだ。
何か用か?

実は、要塞に残されていたアメリア将軍の荷物を整理していたら、ある品物が出てきたんです。
これをどうぞ。

こいつは…こいつは、兄貴のナックルじゃないか。

やはり、あなたに関係のある品物だったのですね。
アメリア将軍の部下だった兵士に聞いたところ、将軍は、そのナックルだけはいつも大切にしていたそうです。

…フン、アメリアめ。
罪ほろぼしのつもりかよ。

ファングさん。

でも、せっかくあいつが大切に取っておいてくれたんだ。
このオレが、ありがたく使ってやるよ。
兄貴も、きっとそれを望んでんだろうしな。

うん、それがいいと思う。



ED

到着! オレの翼ならアークランドからここまであっと言う間だぜ。


あ、ファングさん。
どうしたんですか?

ああ、王女さんが心配になっちまってな。
女王の仕事が忙しすぎて疲れてんじゃないか?
意地悪な大臣にいじめられてんじゃないか?
王宮で心細い思いをしてるんじゃないか?
そう考えたらいてもたってもいられなくなっちまってな。
ひとっ飛びしてやって来たってわけだよ。

ありがとうございます、ファングさん。
だけど、大丈夫ですよ。
仕事は忙しいけれど、何とかやってます。
もちろん意地悪な大臣なんかもいませんしね。

そっか、それならいいんだ。
何かあったら、オレに言うんだぜ。
王女さんのためなら、何だってしてやるからな。

はい、ありがとうございます。
そうだ、いい知らせがあるんです。
帝国でも、ランカスタの民に対する意識が変わりつつあるそうです。

ディランががんばってくれてんだな。

人間とランカスタの民が仲良く暮らせる、そんな未来が来るはずですよ。

そいつは、楽しみな未来だぜ。

なあ、王女さん。
めでたいついでにこんなのはどうだ?
世界を救った少女と、勇敢なランカスタの若者が結ばれるってのだ。

世界を救った少女と、勇敢なランカスタの若者?

オレと、あんたの事さ。
王女さん。

えっ!?

──あんたとオレが結ばれる。オレにとっちゃ、それが最高の未来だぜ。王女さん。──


  ◇  ◇  ◇


ふう、やっと少しだけ休めるか。
皇帝って、こんなにも忙しいものだったんだな。
んっ?

よ、ディラン。
元気してるか?

ファング…。

何だよその顔は。
オレがせっかく、アークランドから飛んできてやったってのに。

そりゃ、ありがたいよ。
あんな遠くから来てくれるんだから。
だけど、毎日ともなるとな。

メーワクか?

いや、そうじゃないよ。
ファングが来てくれて助かってる。
忙しい日々の息抜きになるからな。
でも、大丈夫か?
毎日、アークランドと帝都を往復して。
お前の翼、おかしくなったりしないか?

おいおい、何言ってんだよ。
このファング様の翼はローングランド1なんだぜ。
これぐらいで、どーかなったりはしないぜ。
まー、確かに帝都は遠いし、疲れないって言ったらウソになるけど…。
それでも、オレはここに来たいんだ。
この世界のためがんばってるダチを応援したいからな。

ありがとう、ファング。

ま、心配すんな。本当にしんどくなったらそん時は別の方法を考えるよ。
いっそ、帝都に引っ越してくるとかな。

えっ!?

そーだよ。それが一番じゃねーか。
そういうわけだから、これからもよろしくな。


――オレはずっと、お前を応援してるぜ。ディラン。――


※ファラ編  ファラ相手の時は毎日じゃないのね(笑)。にしても可愛いなぁこんちくしょう! お幸せに!
※ディラン編 やっべえツボにきた。なにあのスネた顔! ヤロウ同士のくせに!



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