「フフフ、アリアン、どう思います?」 プレハブ校舎屋上から昼休みの小隊を見下ろす。 屋上においてある椅子の一つに腰掛け、岩田は話し掛けた。 当然、屋上には岩田のほか誰もいない。 長い足を組む、と言うよりもどちらかと言えば片足にもう片足を巻きつけるような格好で岩田は校庭を見る。 そこにいるのは、岩田とは別の意味で遠くからでも見間違えようのないシルエット。 車椅子の少年。 「…OVERSも思いきった手を打ってきましたねぇ……。」 先日、狩谷はアルガナを受賞した。 三番機で、舞と共に。 元々三番機パイロットであった速水は今は指令である。 転戦に継ぐ転戦でギリギリのラインを行き来する。 三番機は、スキュラが何匹いようと意に介せず敵陣の中心に駆け込みミサイルを放つと大太刀を握り白刃を煌かせ敵を討つ。 作戦も何もあったものではない。 正直、岩田にはこのループはあまり質がいいとは思われない。 だが、何度も破損を繰り返し、ギリギリのラインに立ち。 それでも、5121小隊の戦果はいつも高い。 300の首を狩る英雄になるには、完全なる強さは逆に枷となる。 OVERSがそれを理解しての行動を行っているとは到底思えない。 ただ、前へ突き進むだけだ。 「まあ、イワッチには関係ありませんね。 母はただ見守るだけ〜、のんきな傍観者〜。」 ハッカーが何も話す気がないのを見て取ると、岩田は立ちあがりいつもの奇妙な動きで階段を降りていった。 戦況は、はっきり言って悪い。 あのバクチ打ちのOVERSが狙ったかどうかはわからない。おそらく偶然だろう。 ただ、二日と空けずに出撃がかかり、そのたびに20近い戦果を叩き出す。 小隊が疲弊しきって倒れるのが先か、竜を救うことができるのが先か。 どちらにしても、答えは近い。 願うは存続。開放。 この世界を、この半端な小隊を。 今度こそ。 何度となく心に湧いた願いを今また。 ……まずは、昨日の戦闘でまた派手にやってくれた複座の修理からですねぇ……。 〜FIN〜 |